ユルクネ。

*20代で渡米。30代になってから妊活、不妊治療。二児の母となり、アメリカで育児(自)中です。*

一時帰国した時に子育て中の母親として感じること

日本で子供を連れているとなんか苦しい。というのが正直な感想。そしてそれは、自分の感じ方とか常識とか価値観とかによるところが大きい。それらは日本という社会で生まれ育つ過程で、「個人的に」培って来たもの。なので、日本で生まれ育った、というバックグラウンドの母親みんなが同じ感情を持つのではなく、無意識に取捨選択し形作られていった個人的なものだと思う。私は、自分の性格上、日本社会にいると「楽」ではないんだな、と日本の外に出て見て以来感じていて、母親としてだとそれがさらに強くなります。

子供たちはアメリカで生まれたので、私に日本での子育て経験はない。しかし、日本語の育児書や離乳食本を読んだり、ネット上で情報収集したので日本での子育て情報も若干入ってくる。そして、限られているとはいえ、アメリカで日本人ママさんたちとの交流も多少ある。完全に非日本人化してはない(と思う)。一時帰国中は、自分の中に刷り込まれた日本的価値観(かなり前時代的)がフル稼働、なんとか「普通の」「常識的な」振る舞いをしようとする。もっと言うと、「他人に迷惑をかけないように」これに尽きる。一人で外出するなら、まあ、外国人観光客のようにオタオタしてしまうけれど、周囲には迷惑をかけずになんとか対処できる。でも、子連れだとそうは行かない。

しかもアメリカ育ちの子供たち、振る舞いがフリーダム。上の子の方はまだ、アメリカ育ちにしては人目を気にするし、年齢的にも割とわきまえた行動をしてくれる。しかし、たとえば電車の席で窓の外を眺めるのに靴を脱ぐという非常に日本人的な振る舞いまではできない(アメリカ人は土足で電車のシートに靴を履いたままのせるの普通。下手するとベッドの上も靴のままの人もいる)。そうすると慌てて靴を脱がせるわけです。混んでる時間帯の電車とかバスとか最悪(泣。駅のプラットフォームでも平気で地べたに座り込んだり。電車内で座り込む子供を見かねた親切な人が席を譲ってくれたりして、母親の私は「すみません」を連発している。どこにいても子供の行動と周囲の目を気にしなくちゃいけなくて気が張りつめ、帰ってくるとどっと疲れる。

いや当たり前でしょ、と日本で子育てしている親は思うのかもしれないけれど、それが当たり前じゃないところで子育てをして来ていると、親ってこんなに気を張っていて疲れるものなのね!とびっくり。アメリカの公共交通機関はそもそもそんなに混んでいることもないし(あと、そもそも車生活なので乗る機会が少ない)、上記のような子供の行動をだーれも気に留めないので、「はいはい、もう少しだから我慢しなさい」で済む。そして子供と子連れに優しい人が多いので、しょっちゅう席を譲ってもらえたり。そういえば、妊娠中に電車に乗っていて、まだお腹全然目立たない時期だったけど、めざとくそれに気づいて席を譲ろうとしてくれた人がいたなあ。そして優しくされると「Thank you! (ありがとう)」と言って受け取るのが普通なのも楽。そう、アメリカで子供を連れているのは大したハードルではなく、「楽」。今ここに挙げた要因が複数あり、それらが当てはまる深度も大きい。例えば日本にも優しい人はいると思う、でもその深度は浅く(実際に優しくしてもらえる確率が低い)、むしろ迷惑顔の人の方が多かったら感じ方は全く違う。謝ってばかり、恐縮するばかり、申し出は遠慮するもの、というのは。。。なんだか疲れる。そう、「楽」ではない。

幸い、個人的には日本でも優しい人たちに助けられることの方がずっと多かったけど、外出するといつもいつも周りを見ながら恐縮して縮こまって行動するのはしんどい。みなさん口には出さなくても、子連れというだけで迷惑と思われているような被害妄想になるし、実際口に出して冷たいことを言われたりも。時間帯によっては電車に乗るなと言われているよう。都市部では車で動くには不便なことが多く、よくよく時間を見て電車やバスを使うしかない。

基本的に個人主義的、他人が何をしてようと気にもしないし、その人の勝手、というアメリカ社会と、周りをよく見てはみ出さないよう自分を律し、暗黙の社会的なルールに従うことをよしとする集団主義的日本社会と、落差が大きい。そして私は、日本にいながら周囲をガン無視で自分のしたいことをしたいようにするというのはできないので、そのギャップにワタワタしながらがんばり、疲れてしまう。見た目が明らかに日本人だし、日本語を話すので、夫のように外国人カードを切って逃げることもできない。夫は何かちょっと変なことをしても治外法権的に見過ごされ、むしろ代わりに私が「何やってんだよ」と白い目で見られる(気がする)。

先日、上の子に「ママは日本とアメリカに住むの、どっちが好き?」ときかれて、日本は好きだし毎年行きたいけど、住む(暮らす)ならアメリカの方が楽、と本音が出てしまった。子育て中の母親という観点で日本は私には楽ではない、とつくづく感じるのでした。