ユルクネ。

*20代で渡米。30代になってから妊活、不妊治療。二児の母となり、アメリカで育児(自)中です。*

日英バイリンガル教育の実例いくつか

 

yurukune.hatenablog.com

 

アメリカでのバイリンガル教育について先日書きましたが(↑)、今回は周囲の実例をいくつかご紹介。

  1. 日本人のお母さんがものすごく頑張っているケース:現地校に通い、お父さんはアメリカ人で言語は英語、にも関わらず、幼い時からお母さんがひらがなカタカナをはじめとして、小学校に上がってからは大使館から配布される教科書を使って自ら日本語を教える。日本の知育教材も取り入れたり、オンラインの教材を探したりと熱心にマテリアルを集め、いわゆる学習言語としての日本語もどんどん家庭で導入。子どもには日本語での読書を推奨(たとえそれが漫画だろうと)、子どもたちは日英で読書をする。この子達でも漢字の壁は高いので、英語の方が得意、という傾向はあるものの、2言語で読書ができる。もちろん土曜日には日本語学校に通わせ、その宿題を見てやるのもお母さん。今小学生のこの子達、日常会話力はともかく、ちょっとした時に出る語彙が豊富。語彙は、その子が日常触れているメディアによって差が出る。そして、読んだり書いたりすると、それをしていないバイリンガルとは差が歴然。もう大学生になった子は、いまだに家族間のテキストは日本語らしい。
  2. きょうだいで差があるケース:この場合、往々にして上の子はバイリンガル、下の子はあまり。。。ということが多い。上記と同じでお母さんががんばり、子供もその期待に応えようとがんばり、日本語学校も高校まで通ったりして、程度の差こそあれかなりレベルの高いバイリンガルになるものの、下の子には反抗されたり、または言語能力的な差があり早い段階で諦めざるを得なかったりする。それこそ、言葉が出てくる2〜3歳時点で言葉が遅かったりして、まず一言語にフォーカスしよう、と医師やセラピストに提案されたりすることも。他の子供たちが話し始める中、自分の子供から言葉が出てこないようなら、そりゃあバイリンガルも何も、とにかく英語だけでも普通に話せるようになってほしい、と親は思うもの。これが上の子で起こることももちろんあるわけで、そうすると上の子が話せない言語を下の子にだけ話そう、とはなかなかならないよう。
  3. バイリンガル教育をしないことにしたケース:幼児の段階、すなわち学習言語の壁がない時でも、家庭内に非日本語話者がいる場合は子供に日本語で話しかけ続けるというのはハードルが高い。配偶者が日本語がわかるのでない限り、家族の団欒での会話から完全に置いてけぼり。それでも配偶者を全く無視して子供と日本語で話し続ける。そりゃあ随時通訳してあげたりしますよ、でも、3〜4歳の子供が拙い言葉で一生懸命話している方にまず注意を向け、一通り反応してやり、質問してやり、オチまで聞いてから。どうしても子供優先になるのでお父さん置いてけぼり、というのあるある。なので、配偶者の理解と心からのサポートなしにはできません。また、公園などに行って他の親御さんや子供達と関わる時に日本語だけ、というポリシーを貫くのが難しくなってくる。日本人の家庭とプレイデートを心がけるくらいはできても、アメリカで暮らす以上、英語が絶対に入ってくる。特に、共働きだったらデイケア必須、子供は幼いうちから毎日8時間は英語漬けの環境。保育園時代を在宅勤務や専業主婦・主夫で乗り切っても、現地校に通い出すと同じことが起きます。しかも、この場合は小学校入学まで英語に触れていないので、子供の性格によっては小学校生活に馴染むのに時間がかかるかも。ESLクラスに入れられることもあるのですが、入るとなかなか出られなかったり、カリキュラムが遅れたりすることもあるので、高いところを目指す日本人家庭の親御さんはESLクラスを忌避しているところも。学校によって差が大きいです。

というわけで、よく言われる通り、バイリンガル教育には親の努力が不可欠。アメリカに住んでいて、両親が日本人なら自然に日英バイリンガル〜とかはあり得ない。むしろ、親が努力しても叶わないことは多い。そして、子供の個性(親のコントロール外)は大きい。同じ家庭内でもきょうだいで違った結果になります。土曜日の日本語学校はあった方がいいですが、日本語学校に通う=バイリンガルでは全くなく、かなり日本語が怪しい日本語学校の生徒もいます。子供はあまり日本語が得意でないので、できればやめたいけれど親がやめさせてくれない、とか、親子間での軋轢の元になったりとかで、日本語学校は悩ましい。私も年々ハードル上がると実感してます。それから、日本語話者の親にどれだけの時間があるのかも大きいと感じます。上にあげたケースで子供がバイリンガルになっているケースは、圧倒的にお母さんが専業主婦ということが多い。たとえ家事の手は抜いても、フルタイムで子供の教育に時間とエネルギーを費やしている印象。この場合、日本語だけでなく、現地校の教育にも熱心。本当に頭の下がる努力をみなさんしています。また、私の周囲には基本的には永住組、自然と国際結婚家庭が多いです。そうすると日本語話者でない配偶者のスタンスや日本語力も大きなファクターに。

子供に自分の母語を話してほしい、と思うのは自然だし、幼い子供には言語の才能が備わっているものですが、実現させるのは並大抵の努力でない。親はその経過で悩むこと必須。それぞれの家庭に合った決断をしていくことになります。